地上波デジタル放送について

12月1日から一部の地域でテレビの地上波デジタル放送が始まるそうです。なぜ導入するのか、これまでの放送とどこが違うのでしょうか?

地上波デジタル放送入門

ステップ1 そもそもは?・・・
電波の空き確保
テレビ放送には電波の送り方によって地上波・衛星・CATV(ケーブルテレビ)等があります。12月から地上波デジタル放送が加わり、NHK・民放放送局がそれぞれ関東・中京・近畿の三大都市圏の一部で放送を始めます。

 従来の地上波は電気的な連続信号で情報を送るアナログ方式。新方式は、0と1の二つの信号の組み合わせで情報を伝えるデジタル方式で、国が音頭を取って導入を進めています。

 デジタル化には、電波の空き領域を確保する狙いがあります。電波は周波数によって領域が分かれており、デジタル方式だとより少ない領域で多くの情報が送られます。アナログをでじたるに切り替えれば、広い領域を他の目的に使えます。渋滞した道路を交通整理して多くの車が通れるようにするのに似ています。

 他にも多くの利点があります。映像が二重に映るゴースト現象がないのも特徴。電波が運ぶ情報量が多いので、対応機器が備えれば、音質はコンパクトディスク(CD)並に良くなりハイビジョン並みの高画質も楽しめます。

 データ放送が使えるのも利点。天気予報やニュースがいつでも見られスポーツ観戦中に選手のデータ確認もできます。各地の地方局が放送するので災害情報等地域密着情報提供も期待されています。
ステップ2 見るには?・・・
地域は当面限定

 12月から新方式で民放・NHKを共に見られるのは約5百20万世帯にとどまる見込み。対応機器を買っても、地域によっては当面デジタルでも見られません。放送番組の中身はアナログと同じなので、すぐに対応機器を買わなくてもテレビは見られます。

 ただ、現在のアナログ放送は、2011年7月に全国で一斉に停止します。それまでに対応設備を用意しないと従来の機器では、テレビが見られなくなります。

 総務省によると、デジタル放送の視聴エリアは順次拡大。2005年末には三大都市圏
のほぼ全域で見られるようになる予定。2006年末には三大都市圏以外でも放送開始。2010年末までには全世帯で視聴可能になります。

 家庭でデジタル放送を見るには、チューナーを後付けで接続するか、チューナー内蔵のテレビが必要です。

 地上波デジタル放送は対応機器の普及、放送局の放送機器へのとうしを含め様々な分野で新需要を生み出しそうです。

ステップ3 これからは?・・・
アナアナ変換が必要

 当面はアナログとデジタルの地上波が共存するため、混信の問題が残ります。アナログに近い領域でデジタルはを送ると、混信が起き、どちらのテレビも映らなくなります。

 地域によっては混信を避けるためにアナログ波を別の領域に移す「アナアナ変換」が必要です。具体的には、各放送局がアナログ波を移設。担当者が各家庭を訪問、テレビのチャンネル設定を変えたり、アンテナを調整したりします。

 作業を終えた地域からデジタル放送を開始する予定で、全地域の約10分の1、約4百26万世帯で作業が必要です。
 今年の2月から作業を開始、全地域が終了するのは数年後の予定。約8百億円かかると見られる費用は国が負担します。