パイロットキャップレスという万年筆は1964年東京オリンピックの前年に発売されて今もユーザーがある56年の歴史を誇る製品です。先日、遠縁になるドイツ人技術者に訪独のお礼に贈りました。 この日本の水封技術を大戦末期のドイツ軍が欲しがっていたという戦争記録小説を読んだので紹介します。
(深海の使者)吉村昭著 ですが、第二次大戦中に日本とドイツ(占領下の仏ロリアン軍港)まで、アフリカの喜望峰を回り、3万キロを結んだ「伊号」潜水艦乗組員達の記録です。生存者からの貴重な証言を元にその航跡を著者の冷静な筆致で克明に追う。独側が欲しがったのは、入手困難なゴムなどの南方資源や日本海軍の無航跡魚雷技術。急速潜航時に油圧系統油や燃料の漏洩を防ぐ水封技術。(敵に発見され急速潜航時に、この浮いた油を目標に攻撃された)
日本側はレーダー、ジェットエンジン情報を交換すべく潜水艦航路を開拓しました。お互いの開発技術者も交換する。使命に殉じた者達、その家族の様子、日独の軍部同士の交流が感傷を交えず描かれています。さらに、当時ドイツに潜伏していた、インド独立の急先鋒であった、チャンドラ・ボースを日本に連れて帰るという使命も受けて。敵哨戒が厳しくほとんど浮上できないため酸欠にフラフラになりながら、片道3か月にも及ぶ航海を経て、帰りに撃沈されるなど両国の多くの優秀な技術者が犠牲になりました。ご冥福をお祈りいたします。